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ダンレポートを使う

営業は代金回収まで完了してはじめて「売上がった」と考えるべしとは、私の最初の上司が口をすっぱくしていっていたことです。学生の皆さんにはあまり馴染みがないかもしれませんが、法人取引はそのほとんどが掛売りになるため、営業担当が契約をとり、製品が実際に出荷されて「よっしゃ、2000万売り上がった!」といっても、会社に支払いが来るのは先のことになります。支払い方法も手形、銀行振り込み、小切手等いくつかあり、それぞれにメリット・デメリットがありますが、一般に営業マンのノルマは「売上計上」がなされたときに、その月の営業実績として加算されるため、売上ノルマと代金回収は別のものとして考えられる傾向があります。もちろん、営業会議の議題として支払いがあったかどうかは非常に重要な問題なので、議題として上がらないことはありませんが、基本的に売上ノルマは製品が出荷されれば達成されたことになる、というのが多くのメーカーで共通していると思います。ところが、実際には支払いがない、支払いが遅れるというケースもあります。

前置きが長くなりましたが、こうした取引企業をどれくらい信用するのか判断し、管理するのが「与信管理」、そのための基礎資料として用いられるのが信用調査リポートです。例えば、この取引先であれば、月額1000万円までは掛売りしても良い、といったルールを定め、リスクを最小限にしたいものです。国内営業では帝国データバンクや東京商工リサーチ等がよく使われますが、海外取引でよく使われる信用調査リポートがD&Bレポート、通称「ダンレポート」です。中小企業にとってはこの信用調査のための費用はかなりの出費になるわけですが、それでも重要な案件ではうちも必ず利用します。

私がはじめて利用するケースになったのは、新規で獲得した某アジアの企業との取引なのですが、想定されている売上額に比べて仲介している業者の規模が小さく、先方から支払い条件を変更して欲しいという要求に対して、本当に大丈夫か、代金回収できるのかといったリスクを最小限にするためでした。

結論から言えば、調査員がその会社に電話をし、建物まで行ったようなのですが、「一般住宅用のマンションの一室だった」「社名の看板等はなかった」「当該国の法律では、一定規模以下の会社は財務諸表を公開する義務がなく、社長と電話で話したが、面談を拒否された」等、結局正体が良くわからないということでした。元々は現金先払いの条件、いわゆるTT in advance(電信送金先払い)で取引していた顧客なのですが、金額が大きくなってきたので、先方からL/Cに変えて欲しいという話がきたため、信用調査を行いましたが、結局のところ、支払い方法を変える信用を与えることは出来そうにありませんでした。とはいえ、なぜかうちの会社ではこのダンレポートをつけて申請書を出したところ、該当部署の所属長たちの承認印がつかれて帰って来ました。

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