私は学生で、法律事務所のアルバイトをしているのですが、履歴書にTOEFLとTOEICのスコアを書いたら驚かれ(両方とも満点に近いです)、入ってしばらくして翻訳を頼まれるようになりました。英文契約書や判例のようなのですが、訳したら弁護士の先生から「日本語になってないし、意味がわからない」と言われ落ち込んでいます。
英語というのは、皆同じものだと思っている人が多いのですが、早い時期にこうした壁にぶつかったあなたはある意味ラッキーです。TOEICで990点をとっても、どのような職種でも支障なく英語で仕事が出来るかといえば、答えはNOです。こうした試験はあくまで、「英語の基本的なことがわかっているか」を見るだけで、日本語で言えば、「てにをは」がおかしくないか程度といえます。
これは受験を推進している側にも問題があるのですが、このスコアが取れればネイティブと遜色なく会話が出来るというようなことは実際にはありえません。 何をもって「会話」としているのかにもよりますが、仮に世間話にしても向こうが気を遣わず、のっけから親しい友人のようなノリで話し始めたら、こちらは向こうが使う表現の半分も分かりません。スラングが多用されているからです。実際の英語はTOEICのようなクリアで正確な発音ということは稀です。話すスピードも緩急があったり、個人差もあり、テレビや映画などのナチュラルスピードよりもさらに速く感じます。
また、英語を母語としている優秀なビジネスマンと対等に交渉するのは、米国でそこそこの大学を出ていても難しい場合があります。勘違いしている人が多いのですが、ほとんどの日本人ではネイティブスピーカーにとっての母語と同レベルの英語力は一生身につきません。
高度な言い回しやニュアンスでは勝負できませんので、向こうで使われるフォーマルな表現を一通り間違えることなく使えるようになったら、語学以外のスキルで戦うのが普通です。ものの考え方や思考というのは使う言語にもかなり影響されますので、何気なくものを考えたときに日本語が思い浮かぶうちは対等に話すことなどできません。
スポンサーリンク