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インドのセールスレップの裏切り

うちのような中小規模のメーカーだと、いきなり海外に販売会社をつくるというのもなかなか難しいので、まずは現地の販売店となってくれる会社を探すことが急務になります。こうした販売店のことをSales rep、正式にはSales representativeということもありますが、うちの海外営業部では個人ベースで活動してくれて、また販売会社といえるほどのものがない地域で、コミッションベースで現地営業をしてくれる現地人のことを特にセールスレップと呼んでいます。

コミッションベースとは、資金力のない現地人が個人で営業活動をしてくれても、当社からの仕入れに対する支払い能力がない場合、与信がないため、ものを売ることができません。そこで、売買そのものは当社とそのセールスレップが開拓してくれた会社との法人取引にして、製品の輸送もこの法人間で行い、セールスレップには成功報酬としてコミッションを支払う、という方式のものです。コミッションは取引ごとに支払うことが一般的です。

当社もインドにセールスレップを置いており、最初のレップがそれを法人化し、今では数名でまわしている営業所のような体裁になっていますが、法人としては信用力がないため、コミッションベースでの取引を行っています。彼らはインド市場の開拓で大きな役割を果たしてくれており、マージンが多く入るよう、他の地域よりも優遇した価格政策を実施してきています。担当は当海外営業部の自称エースのヤンキーで、数ヶ月に一度は長期出張して同行販売にも精を出してきました。もともとインドのセールスレップたちは、この業界に疎く、当社の歴代の海外営業マンたちが手塩にかけて専門知識を教え、育ててきたという存在で、社長のお気に入りでもありました。現在ではかなりの戦力になっていますが、ここまでの営業に育つまでに代々営業マンたちはずいぶんと苦労してきたようです。

当社ではこのインドエリアに対しては、工業用の機械とそれに使う消耗材の双方を売ってきたのですが、あるときから機械の売り上げがまず落ち、それからだんだんと消耗材の売り上げも落ちていきました。

競合の攻勢が激しく、中国、韓国からの売り込みもきつい地域だったので、セールスレップからもこうした報告を受けて日本では対抗品の開発も進めてきていたのですが、売り上げの低下に歯止めがかからず、対抗品も完成を待たず、ヤンキーが支援のためインドへ飛びました。

ヤンキーの報告では、インドのセールスレップたちが今までの納入先に出入りできなくなったということで、強い口調で同行を申し出ても腰を上げないとの報告が連日入ってきており、ついにマッチョ上司の命令で、セールスレップたち抜きでヤンキー一人でまずは従来の得意先を巡回せよとの命が出ました。ヤンキーも「そのつもりだった」とのたまい、早速訪問を開始したのですが、そこでレップたちの裏切りを知ります。

当社製の機械を納入した得意先の一社で、本来ならばうちの消耗品が使われているべきところ、競合製のものが使われていました。ヤンキーの話では、得意先にすすめてきたのがうちのセールスレップだったとのことで、どうやら競合製のものを扱いはじめていたようです。

インドのセールスレップに販路をまかせており、レップたちが開拓したわけではない顧客についても彼らにマージンが落ちるよう仕切り価格も特別に安くしていたのは当社の総代理店的な役割を担ってもらっていたからです。競合品を扱うということになれば、こうしたルートは変更せねばなりませんし、仕切り価格もこれまでどおりというわけには行かず、手塩にかけてレップたちを育ててきた当社の社長や担当者からすればまさに背信、裏切り行為です。

その後、両者で話し合いがもたれましたが、セールスレップたちが予想以上にエンドユーザーとの関係をがっちり構築しており、彼らとこじれるのは得策ではないことがわかり、価格も販路も変更なしでこのままの状態で取引が継続されることとなりました。ただし、新規顧客を当社が直接開拓した場合は、セールスレップたちを通じての販売は行わないことになりました。

なんとも間の抜けた話ですが、油断しているとこうなるのはどの世界でも同じかもしれません。

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